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江戸切子の特徴・歴史を解説!体験ができる施設も紹介

テーブルに赤と青の江戸切子が置かれている

表面に繊細な細工がされていて、きらきらと美しい「江戸切子」。伝統工芸品のなかでもとくに有名な品で、国内外で人気を集めています。

本記事ではそんな江戸切子の特徴や歴史、有名店や体験ができる施設について紹介!江戸切子に興味がある方はぜひ内容を確認してください。

江戸切子の特徴

テーブルに江戸切子江戸切子

「切子」とはいわゆるカットグラスの意味。透明なガラスに色付きのガラスを組み合わせた「色被せガラス」に加工が施され、繊細で華やかなカットが楽しめるのが江戸切子の魅力です。

江戸切子はグラスや器のほかにも、照明器具として使われることがあります。「魚子(ななこ)紋」や「菊つなぎ紋」など伝統的な紋様・デザインがあり、それらを組み合わせて独特なカットが施されるのが特徴です。

江戸切子の歴史

江戸切子の発祥は江戸時代後期だとされています。当時、江戸でビードロ問屋を営んでいた加賀谷久兵衛(かがや きゅうべい)が、海外から持ち込まれたガラス製品に金剛砂を使って細工を施したのがはじまりです。

明治時代になると、イギリスのカットグラス技師であるエマヌエル・ホープトマンが招かれ、日本の職人が指導を受けます。これによりイギリスのカットグラス技術と江戸切子の技術とが融合し、ガラス器の普及もあいまって切子製造が盛んになりました。

大正時代からはガラス素材の研究がおこなわれ、クリスタルガラスの研磨技法が開発されます。さまざまな技術開発によって江戸切子の品質は向上し、大正~昭和にかけて全盛期を迎えました。現在まで続く老舗メーカーもこの時期に創業されています。

その後、昭和60年には江戸切子が東京都の伝統工芸品産業に指定。平成14年には国の伝統的工芸品に指定されています。

江戸切子の製造工程

テーブルに江戸切子が置かれている

江戸切子の製作は割り出し→粗ずり→三番掛け→紋様のカット→磨きという工程で進んでいきます。

まずはグラスに気泡や鉄粉がないかチェックしてからカットの目印となる印を付け(割り出し)、円盤状のダイヤモンドホイールを回転させて、印に沿ってデザインの大枠になる太い線を削ります(粗ずり)。

その後、さらに細かい目のダイヤモンドホイールで同じ場所をカットしより細かく彫り(三番掛け)、ダイヤモンドホイールを変えながら切子の紋様をカットしていきます。

カットし終えたら、磨き粉をつけてカット面を磨き、バフ盤で全体を仕上げて完成です。

▼江戸切子の製作工程

1. 割り出し カットの目安となる印(割付け)をつける
2. 粗ずり ダイヤモンドホイールでデザインの大枠になる太い線を削る
3. 三番掛け 粗ずりに沿って、さらに細かく彫っていく
4. 紋様のカット ダイヤモンドホイールを変えながら切子の紋様をカットする
5. 磨き 磨き粉をつけてカット面を磨きバフ盤で全体を仕上げる

江戸切子の伝統的紋様・デザイン

テーブルに赤と青の江戸切子が置かれている

江戸切子の伝統的な紋様には「菊つなぎ」や「八角籠目」、「菊籠目」、「玉」、「魚子」、「麻の葉」、「市松」、「七宝」など、さまざまなものがあります。ここでは代表的な紋様の特徴をいくつか紹介しましょう。

菊つなぎ

縦・横・斜めにいくつもの細かい線を組み合わせ、菊のような繊細な紋様を描き出します。菊の花には不老長寿の意味があるとされ、縁起が良いとされています。線が非常に細かく、高い技術力が必要とされる紋様です。

八角籠目

竹籠の網目をモチーフにした紋様。八角形の紋様が格子状に並び、光が注がれると八方に反射され非常に美しく輝きます。こちらも菊つなぎと同様、熟練の技が必要とされ、高級品に多く見られる紋様でもあります。

矢来(やらい)

江戸切子の紋様のなかでももっとも基本となるのが「矢来(やらい)」。昔の人家に見られた竹を組んだ囲いの「矢来(やらい)」が語源とされていて、斜線を等間隔にカットして削り出します。シンプルな紋様ですが、ほかの紋様を引き立てる役割を持っていますよ。

七宝(しっぽう)

同じ大きさの円を4分の1ずつ重ねたものを、上下左右に規則正しく並べた紋様。「七宝」とは仏教で7つの宝を意味する言葉。人と人との円が四方八方に広がることを願ったのが七宝の語源とされています。このことから子孫繁栄の意味を込めることもあります。

江戸切子の有名店・メーカー

ここでは江戸切子の有名メーカー、有名店をご紹介します。

カガミクリスタル

1934年創業の日本初のクリスタル専門メーカー。熟練の職人が作り出す繊細な作品は宮内庁御用品としても認められていて、高品質な製品は多くの人に愛されています。

江戸切子も取り扱っていて、繊細は色合いとデザインは見る人の目を魅了します。冠婚葬祭の贈答品としても多く選ばれていますよ。茨城県龍ケ崎の本社工場では、工場見学をおこなうこともできます。

カガミクリスタル公式HPはこちら

堀口切子

1921年創業の「堀口切子」も老舗メーカーのひとつです。創業者の堀口市雄は江戸切子の技術伝承者・小林菊一郎に弟子入りをし、前身となる「堀口硝子」を創業。まるで万華鏡のようにきらびやかな「万華様」シリーズや女性的なデザインの「N」シリーズなど、独自のラインアップが目を引きます。

堀口切子公式HPはこちら

清水硝子

1923年創業の「清水硝子」は、東京都葛飾区堀切にある大正時代から続く江戸切子の老舗メーカーのひとつ。ロックグラスやタンブラーなどオリジナルデザインの江戸切子のほか、オーダーメイドの受注もおこなっています。オンラインストアでは数多くの品を閲覧・購入できますよ

清水硝子公式HPはこちら

門脇硝子加工所

東京都亀戸にある「門脇硝子加工所」は、色味が特徴的な江戸切子を多数取り扱っているメーカー。エメラルドグリーンや琥珀色など、繊細な色合いのグラスが多く、思わずうっとりするような繊細な見た目をしています。ロックグラスからぐい呑み、ワイングラス、アクセサリーまで魅力的な江戸切子を製造販売しています。

門脇硝子加工所公式HPはこちら

関東近郊で江戸切子が体験できる施設

すみだ江戸切子館

江戸切子の紹介する墨田区認定の工房ショップ「すみだ江戸切子館」。江戸切子作品の展示販売のほか、江戸切子のオリジナルグラス製作体験ができます。

体験は小学4年生から申し込むことができ、機械の扱い方からカットの練習、実際のグラスカットまで体験できます。実施日程は費用など詳しくは下記をご覧ください。

施設名 すみだ江戸切子館
住所 〒130-0012 東京都墨田区太平2-10-9
アクセス 錦糸町駅からスカイツリーの見える方へ徒歩6分
電話番号 03-3623-4148
実施日程 火~土(祝日は除く)
体験内容 機械の扱い方の説明、練習、グラスカット

【大人(中学生以上)】
グラスを1つ選び、機械の扱い方の説明、練習、
カットしたグラスをお持ち帰りいただく90分の体験。

[小学生(4年生から)]〈要電話〉
機械の扱い方の説明のあとな透明硝子素材に
お好きなカットを入れて60分の体験

料金 【大人(中学生以上)】 4,500円(税別・材料費込)
【小学生]】2,300円(税別・材料費込)

体験の詳細はこちら|すみだ江戸切子館公式サイト

創吉 切子体験教室

東京都の浅草駅にある切子体験教室「創吉」。浅草駅から徒歩4分の場所にあり、ニーズに応じて「90分コース」のほか「2時間コース」、「講座+体験コース」から選択できます。

十数種類のグラス、数十の柄デザインから好きなものを選び、それらを組み合わせてオリジナルグラスを製作しますよ。推奨年齢は9歳以上ですが、大人の付き添いがあれば9歳未満のお子さんでも体験できます。

施設名 創吉 切子体験教室
住所 〒111-0034 東京都台東区雷門2-1-14 四方レジデンス
アクセス 銀座線 浅草駅 4番出口 徒歩30秒
浅草線 浅草駅 A3出口 徒歩3分
電話番号 03-6802-8948
催行人数 1〜40名
※各部屋最大12名のため、13名以上の場合は複数の部屋に分けて案内
推奨年齢 9歳以上​
※9才未満は大人のお付き添いがあれば体験可能
料金 【90分コース】
大人:3,630円(税込)
18歳以下:2,750円(税込)
【2時間コース】
大人:4,730円(税込)
18歳以下 : 3,850円(税込)
【講座+体験コース】
大人:7,700円(税込)
18歳以下 : 6,600円(税込)

体験の詳細はこちら|創吉 切子体験教室公式HP

東京ガラス工房 凛然

江戸川区にある「凛然(りんぜん)」では江戸切子の製造、販売、体験、教室をおこなっています。1時間の「切子体験」と、通学しながら切子の技術を身に付けられる「切子スクール」の2つのコースが用意されています。

「切子体験」では1時間で素材を自由でデザインをカットして、作品はそのまま持ち帰り可能です。素材は小皿、ぐいのみ、グラスの3種類から選択できます。「切子スクール」は月額制ではなくチケット制で、都合に合わせて自由に日時を決めることができますよ。

施設名 東京ガラス工房 凛然
住所 〒132-0035 東京都江戸川区平井5-42-6 1F
アクセス
電話番号 03-6231-9407
営業時間 10:00~19:00
定休日 月曜日
体験内容 【切子体験】
時間:1回60分
【切子スクール】
時間:1回120分
料金 【切子体験】
4,950円(税込)~
※ぐいのみ:600円(税込)、グラス:1200円(税込)の追加料金がかかります
【切子スクール】
受講カード
・受講カード5回分 : 18,700円(税込)
・磨き券付受講カード : 19,800円(税込)
素材
・ぐいのみ : 990円(税込)
・ロックグラス : 1,430円(税込)
・マルチグラス : 1,540円(税込)
加工代
・ぐいのみ : 2,200円(税込)
・ロックグラス : 3,300円(税込)
・マルチグラス : 3,300円(税込)

 

体験の詳細はこちら|東京ガラス工房 凛然公式HP

浄玻璃工芸社 がらすびと工房

横浜市鶴見区「がらすびと工房」ではガラス工芸品やモニュメント、建築素材を作成している工房。ガラス教室も開催していて、時間を自由に決められるフレックス制で運営されています。

フルタイムコースでは1ヶ月あたり受講時間12時間と、ゆったりと受講可能。開講日の午前9時~午後7時の間で、好きな時間だけ受講できますよ。フルタイムコースのほか、ハーフタイムコース(6時間/月)も用意されています。

施設名 浄玻璃工芸社 がらすびと工房
住所 〒230-0002 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町3-54
アクセス
電話番号 045-584-5365
開講時間 9:00~19:00
体験内容 ・時間を自由に決められるフレックス制
・1ヶ月12時間と受講時間が長いのでゆっくりじっくり受講可能
・各講座の開講日AM9時~PM7時の間、好きな時間好きなだけ受講可能
・カリキュラムは一人ひとりに合った内容で受講可能
料金 フルタイムコース(12時間/月)
1ヶ月:15,400円
6ヶ月:87,780円
12ヶ月:166,320円
ハーフタイムコース(6時間/月):8,980円
特別会員(定員制):38,500円

 

体験の詳細はこちら|浄玻璃工芸社 がらすびと工房

江戸切子を日常に取り入れよう

繊細なカットが目を引く江戸切子は、江戸時代から続く伝統的な工芸品。光が透過すると華やかできらびやかな表情を見せてくれ、思わずうっとりするような美しさをたたえます。気になった方は工房や体験教室に足を運び、江戸切子の魅力をじかに味わってみてください。